皆さんは、デュオリンゴの緑のフクロウ「デュオ」をご存知ですか?
スマートフォンの画面からじっと見つめてくるあの目は、外国語学習を忘れたときに「レッスンをやってください!」と思い出させてくれます。
少し怖いけれど愛されるこのキャラクターは、今やインターネットで大人気です。

そしてデュオリンゴのマーケティング方法は、今のSNS時代で大成功している素晴らしい例なんです。
【こちらの記事を参考にしています。】
Hi! It's Duo: The Marketing Strategy Behind the Internet's Favorite Green MenaceRanging from silly to threatening, Duo the Owl is the envy of social media managers.
SNSを中心にした作戦で大成功
デュオリンゴは2020年に大きく方針を変えました。
それまではテレビCMなどの従来の広告に力を入れていましたが、あまり効果が出ておらず、マーケティングチームは「何か足りないものがあるな」と気づいたのです。
そこで目をつけたのが、アプリにすでにいた緑のフクロウ「デュオ」でした。
このキャラクターは「学習を続けないと…」とちょっと怖い感じで通知を送ることで、ユーザーの間ですでに若干有名でした。デュオリンゴはこのフクロウを前面に出して、TikTokなどのSNSでいろいろな動画を投稿し始めました。
その結果、アプリを毎月使う人の数は、2021年の4050万人から今では1億1670万人以上に増えました。売上も前の年より40%も増えたのです。

これはマスマーケティングからSNSマーケティングに転向して最も成功した一つの例だね!
ファンの声を大切にする作戦
デュオリンゴが成功した大きな理由は、SNSでの接し方にあります。
彼らのソーシャルメディア責任者であるザリア・パーベズ(Zaria Parvez)さんは「コメント欄こそが私たちの企画書です。ファンの皆さんが本当に私たちの活動を導いてくれるのです」と話しています。
これは単なる言葉ではなく、実際の行動として表れています。
彼らはいつもファンのコメントをしっかり読み、次に作る動画のアイデアを見つけています。
例えば、2024年2月に行われた「デュオが死んだ」というイベントでは、サイバートラックという車にひかれたデュオの「お葬式」をTikTokで行いました。この動画は6600万人もの人が見て、NetflixやWHOなどの有名な組織からもお悔やみメッセージが届いたほどです。

日本だったら絶対炎上する企画だよね。
このイベントで、デュオリンゴは「デュオを生き返らせるには言語レッスンをしてください」と呼びかけました。すると、アメリカ、ドイツ、ブラジルなど世界中の人が英語学習を頑張って、見事にデュオを生き返らせました。
このように、ただ話題を作るだけでなく、実際にアプリを使ってもらうよう促す方法は、日本のSNSマーケティングに足りない視点です。
日本人はSNSを多くの場合「認知拡大のツール」として使用しがちです。
しかしデュオリンゴのように直接的にユーザーの行動につなげることができる媒体でもあることは、マーケターとして肝に命じておくべきでしょう。
会社の雰囲気と社長の協力が大切
デュオリンゴの成功には、会社全体の雰囲気と上司の姿勢も大きく関わっています。
社長のルイス・フォン・アーンさん自身がTikTok動画に出演するなど、会社のトップがしっかり協力しているのです。
マーケティング責任者のマヌ・オルソーさんは「創造性の一番の敵は、長くて厳しい承認手続きです」と言い、マーケティングチームが自由に活動できる環境を作っています。
この柔軟な組織の形が、素早い決断と動画制作を可能にしています。
実はデュオリンゴのSNSチームはたった51名しかいないのに、時には当日中に新しい動画を考えて作り上げることもあります。
大きな会社なのに、小さなベンチャー企業のように素早く動けるのが強みなのです。
キャラクターの世界を広げる
デュオリンゴは、単にフクロウのマスコットを使うだけでなく、キャラクターを中心にした物語の世界を作っています。
最初はデュオだけでしたが、徐々に「リリー」などの新しいキャラクターも登場させるようになりました。
「リリーとの生活」というYouTubeショートの動画シリーズは、初めて作った連続ストーリーで、1050万回も再生され、新たに10万人のフォロワーを獲得しました。
パーベズさんは「私たちはSNSをテレビドラマのように考えています。すべての投稿が新しい物語の一部になるのです」と説明しています。
今のマーケティングで成功するためのヒント
デュオリンゴの例から学べる、今の時代のマーケティングの成功のヒントをご紹介します。
個性的なキャラクターを使う
デュオリンゴの成功は、自社のキャラクターをうまく使った良い例です。
デュオのような印象に残るキャラクターは、会社の顔になるだけでなく、お客さんとの心のつながりも作ります。日本ではキャラクターマーケティングがよく使われていますが、ただかわいいだけでなく、個性的で覚えやすい特徴を持たせることが大切です。
デュオの成功はある意味でヤクルトのつば九郎と似通ったものがあります。
そう考えると、強烈な個性を持つキャラクターは日本でも通用すると言えるでしょう。
つば九郎担当者との別れ惜しむ“88秒” 盟友が改めて伝えた感謝「野球人生の一部」2001年から2007年までヤクルトに在籍したアレックス・ラミレス氏が4日、自身のYouTubeチャンネル「ラミちゃんねる」を更新。2月に死去したヤクルトのマスコット「つば九郎」の担当者にメッセージを届けた。
SNSを中心に考える
デュオリンゴはテレビCMなどの古い形の広告から、SNSを中心にした方法に変えました。
日本でも、TikTokやYouTubeショートなどの短い動画が重要になっています。
特に若い世代に向けた商品なら、彼らが毎日使うアプリをよく理解して、そこに合った内容を続けて発信することが必要です。
お客さんの声を聞く
デュオリンゴは「コメント欄が私たちの企画書」と言っているように、ユーザーや見込み客の声を大切にしています。
お客さんからのコメントを真剣に受け止めて、次の動画作りに活かす流れを作っています。
日本の会社も、一方的に情報を発信するだけでなく、お客さんとの会話を大切にする姿勢が求められるでしょう。
会社の仕組みを見直す
マーケティングの成功には、それを可能にする会社の仕組みが必要です。
デュオリンゴの平らな組織構造と素早い決断は、SNS時代に対応するための必要条件です。マーケティング部門だけでも承認の手続きを簡単にして、クリエイティブチームにある程度の自由を与えることで、市場の変化にもっと早く対応できるようになるでしょう。
流行りのものと関連付ける
デュオリンゴは「バービー」映画の試写会やチャーリーXCXのコンサートなど、今の流行りの文化イベントに積極的に参加しています。
自分たちのキャラクターの世界観を守りながらも、今の流行と関連づけることで、ブランドを新鮮に保っています。日本でも、若者文化や話題のニュースと上手く関連づけることが大切です。
日本でのやり方
日本でデュオリンゴのようなマーケティングを成功させるには、日本の文化に合わせることが大切です。
日本ではLINEやX(旧Twitter)をよく使う人が多いので、TikTokだけでなく、いろいろなSNSで発信することが大切です。
さらに、日本には「推し文化」があるので、ファンが自分から応援したくなるような仕組みを作ることも効果的でしょう。
まとめ
デュオリンゴの成功は偶然ではなく、今のSNS時代にぴったり合ったマーケティング戦略の結果です。彼らの例から、個性的なキャラクターの力、SNSを中心にした考え方、お客さんとの対話、素早く動ける組織、そして流行との関連づけという、今のマーケティングで大切な要素がわかります。
日本の会社もこれらのポイントを取り入れて、自分たちの文化や目標に合わせて調整すれば、デュオリンゴのような成功も可能です!