「ポッドキャストはまだ発展途上のメディア」という認識は、もはや過去のものです!
特にZ世代(10代後半から20代前半)においては、ポッドキャストは既に日常に深く浸透し、効果的なマーケティングチャネルとして機能しています。
日米の最新調査から、Z世代のポッドキャスト利用実態とその可能性が明らかになっています。
驚異的な浸透率と利用頻度
日本国内の調査によれば、15〜19歳のポッドキャスト利用率は32.8%で約3人に1人、20代でも25%と4人に1人が毎月ポッドキャストを聴いています。

さらに注目すべきは、ポッドキャストの利用率がTikTokと同等という点です!
10代の利用者の48%は週3日以上ポッドキャストを聴いており、ユーザー全体の約5割が定期的に3番組以上を視聴しています。
この数字は、単なるお試し的な利用ではなく、習慣として定着していることを示しています。
Z世代がポッドキャストを好む理由
Z世代がポッドキャストに惹かれる主な理由は以下の通りです。
まず「ながら聴き」の親和性が非常に高いことが挙げられます。
日本の調査では、世代を横断すればユーザーの87.1%が何かをしながらポッドキャストを聴いています。マルチタスクを当たり前とするZ世代にとって、視覚的注意を必要としないポッドキャストは理想的なメディアです。
次に、精神的健康管理のツールとしての役割があります。
SiriusXM MediaとEdison Researchの調査によれば、Z世代はパンデミックや気候変動などの課題に直面しながらも、精神的健康を重視しています。
ポッドキャストは「日常のプレッシャーやストレスからの逃避」として活用されているのです。
さらに、Z世代内の年齢層によって利用目的に違いがあります。
10代はエンターテイメント性を重視する一方、20代は配信者との信頼関係やテレビ・SNSでは得られない深い内容を求める傾向があります。
マーケティングチャネルとしての価値
ポッドキャストは単なる広告媒体以上の価値を持っています。
日本の調査では、ポッドキャストのヘビーユーザー(5番組以上聴くユーザー)は、音声広告に対するポジティブな反応がなんと一般ユーザーより10ポイント以上高いことが判明しました。
興味深いのは、ポッドキャストユーザーの職業構成です。
日本の調査では、企業の決裁権者(経営者、役員、管理職)の比率が13.1%と他メディアより高く、同時に学生の比率も16.1%と高いことから、現在の消費者から未来の意思決定者まで幅広く接点を持てるメディアであることがわかります。
効果的なポッドキャストマーケティングの鍵
Z世代向けのポッドキャストマーケティングを成功させるポイントをご紹介します。
- 年齢層による違いを理解する:10代向けにはエンターテイメント性を、20代向けには配信者の個性や真正性を重視したアプローチが効果的です。
- 「ながら聴き」を前提とした設計:視覚に依存せず、短時間で核心に入る構成や、定期的なテーマの再提示が重要です。
- 適切なプラットフォーム選択:日本ではSpotify(35.2%)が最も高く、若年層はSpotifyとYouTube Musicの利用が多い傾向があります。
- 広告フォーマットの最適化:Z世代は真正性を重視するため、ホスト読み上げ型の方が事前録音型より効果的な場合が多いです。
- 測定と分析の体制構築:プロモーションコードや専用URLの活用、リスナー調査を組み合わせた効果測定が必要です。
我々マーケターが今すべきこと
Z世代のポッドキャスト利用は今後も拡大し続けるでしょう。
マーケティング担当者が今取り組むべきアクションをご紹介します。
- ポッドキャストをマーケティング戦略の中核に位置づける
- 自社ブランドのポッドキャスト立ち上げを検討する
- ポッドキャスターをインフルエンサーマーケティングの文脈で再評価する
- オーディオブランディングの構築に着手する
- デジタルオーディオ広告の専門知識を持つ人材を育成・採用する
音声メディアの新時代はすでに始まっています。
Z世代との効果的なコミュニケーションを求めるマーケターにとって、ポッドキャストはもはや無視できないチャネルとなっているのです。
参考記事:
For Gen Z, Audio Offers Comfort, Community, and CatharsisNew research from SiriusXM Media And Edison Research dives into understanding Gen Z’s mindset about audio. Z世代の3割近くが毎月ポッドキャストを利用 若年層の利用率が高い結果に/オトナル×朝日新聞社調査オトナルと朝日新聞社では共同で、国内のポッドキャストの使用状況を把握しポッドキャストユーザーへの理解を深めることを目的に、2020年から「PODCAS...
*本記事は調査データに基づく情報提供を目的としています。ポッドキャストマーケティングの導入については、各企業の状況や目標に合わせた戦略設計をお勧めします。