1. なぜ購買行動モデルが重要なのか?
Webマーケティングは、ただ闇雲に施策を実行するだけでは、十分な効果は得られません。
なぜなら、消費者は一人ひとり考え方や行動が異なり、画一的なアプローチでは響かないからです。
そこで重要になるのが、購買行動モデルです。
購買行動モデルとは、消費者が商品やサービスを認識し、興味を持ち、最終的に購入に至るまでの心理的なプロセスを段階的に示したものです。
このモデルを理解することで、消費者がどの段階でどのような心理状態にあるのかを把握し、その段階に合わせた最適なマーケティング施策を実行できます。
購買行動モデルを理解するメリット
- 効果的なマーケティング戦略の立案: どの段階で、どのような情報を提供すれば良いのかが明確になります。
- 顧客心理の理解: 消費者のニーズや感情をより深く理解し、共感を生むコミュニケーションが可能になります。
- 施策の効果最大化: ターゲット顧客の行動パターンに合わせたアプローチで、施策の効果を最大化できます。
- 無駄な施策の削減: 効果の低い施策を避け、コストを最適化できます。
2. 購買行動モデルの種類
購買行動モデルには、古典的なものから、デジタルマーケティングに対応したものまで、様々な種類があります。
ここでは、代表的なモデルを整理してご紹介します。
2.1 古典的な購買行動モデル
- AIDMA(アイドマ)モデル
- Attention(注意): まず商品やサービスに気づく段階
- Interest(関心): 商品やサービスに興味を持つ段階
- Desire(欲求): 商品やサービスが欲しいという欲求が生まれる段階
- Memory(記憶): 商品やサービスを記憶する段階
- Action(行動): 購入という行動に移る段階
- 解説: マーケティングの基礎となる最も有名なモデルの一つ。消費者の心理プロセスを段階的に捉えることができます。
- AISAS(アイサス)モデル
- Attention(注意): 商品やサービスに気づく段階
- Interest(関心): 商品やサービスに興味を持つ段階
- Search(検索): インターネットで情報を検索する段階
- Action(行動): 購入という行動に移る段階
- Share(共有): 購入した商品やサービスをSNSなどで共有する段階
- 解説: インターネットの普及に伴い、検索と共有の要素が加わったモデル。デジタルマーケティングの基礎となります。
- SIPS(シップス)モデル
- Sympathize(共感): 商品やサービスに共感する段階
- Identify(確認): 商品やサービスを自分ごととして捉える段階
- Participate(参加): 商品やサービスに関連する活動に参加する段階
- Share & Spread(共有・拡散): 商品やサービスをSNSなどで共有・拡散する段階
- 解説: SNSやコミュニティの重要性が高まる中で提唱された、共感や参加に重点を置いたモデル。
- VISAS(ヴィサス)モデル
- View(見る): 商品やサービスを視覚的に捉える段階
- Interest(関心): 商品やサービスに興味を持つ段階
- Search(検索): インターネットで情報を検索する段階
- Action(行動): 購入という行動に移る段階
- Share(共有): 購入した商品やサービスをSNSなどで共有する段階
- 解説: AIDMAをベースに、視覚的要素を重視したモデル。
2.2 デジタルマーケティングに対応した購買行動モデル
- ULSSAS(ウルサス)モデル
- User Generated Content(UGC:ユーザー生成コンテンツ): SNSや口コミなどを通じて、他の消費者の意見を知る段階
- Like(いいね): 興味のある投稿に「いいね」などのアクションをする段階
- Search1(検索1): 気になる情報を検索する段階
- Search2(検索2): 詳細な情報を検索する段階
- Action(行動): 購入という行動に移る段階
- Share(共有): 購入した商品やサービスをSNSなどで共有する段階
- 解説: SNSや口コミを重視した、近年注目されているモデル。
- マイクロモーメント
- 知りたい(I-want-to-know moments): 何かを知りたいと思った瞬間
- 行きたい(I-want-to-go moments): どこかに行きたいと思った瞬間
- したい(I-want-to-do moments): 何かをしたいと思った瞬間
- 買いたい(I-want-to-buy moments): 何かを買いたいと思った瞬間
- 解説: Googleが提唱する、スマートフォンを通じて生まれる「瞬間的な意図」に基づいた行動モデル。
- カスタマージャーニーマップ
- 解説: 顧客が商品やサービスを認知してから購入、その後の利用に至るまでの体験を可視化したもの。顧客の行動、感情、思考を時系列で整理し、顧客体験の改善に役立てます。
2.3 その他の購買行動モデル
- 認知的不協和理論
- 解説: 購入後の満足度に関わる理論で、購入した商品やサービスに対してポジティブな感情を保とうとする心理。購入後のフォローや情報提供によって、顧客満足度を高めることが重要です。
- ブランドロイヤリティ
- 解説: 特定のブランドに対する愛着や信頼。顧客をリピーターにするためのマーケティング戦略に活用されます。
3. 購買行動モデルをWebマーケティングにどう活かす?
ここからは、具体的に購買行動モデルをWebマーケティングにどう活かしていくかについて解説します。
3.1 各モデルとWebマーケティング施策の関連性
各モデルの段階に応じて、適切なWebマーケティング施策を組み合わせることが重要です。
- AIDMAモデル:
- Attention (注意)段階:
- Web広告(リスティング広告、ディスプレイ広告、SNS広告)
- SNSでの情報発信
- SEO対策
- コンテンツマーケティング(ブログ記事、動画コンテンツ)
- Interest (関心)段階:
- ランディングページの改善
- メールマーケティング(ステップメール)
- ウェビナーの開催
- 事例紹介
- Desire (欲求)段階:
- 商品詳細ページの改善
- 口コミの掲載
- 無料お試しキャンペーンの実施
- レビューの掲載
- Memory (記憶)段階:
- リターゲティング広告
- メールマガジンでの情報発信
- SNSでの継続的な情報発信
- Action (行動)段階:
- 購入プロセスの簡略化
- 決済手段の多様化
- クーポンの発行
- Attention (注意)段階:
- AISASモデル:
- AIDMAモデルに加え、
- Search (検索)段階: SEO対策、キーワード戦略
- Share (共有)段階: SNSでの情報発信を促す施策、UGCの活用
- AIDMAモデルに加え、
- ULSSASモデル:
- User Generated Content (UGC)段階: SNSでの口コミを促す施策、キャンペーンの実施
- Like (いいね)段階: 興味を引く投稿、共感を生むコンテンツの作成
- Search 1, 2 (検索)段階: SEO対策、キーワード戦略、コンテンツマーケティング
- Action (行動)段階: 購入プロセスの簡略化、決済手段の多様化
- Share (共有)段階: SNSでのシェアを促すキャンペーン、ハッシュタグの活用
- マイクロモーメント:
- 知りたい(I-want-to-know moments): ブログ記事、FAQ、解説動画
- 行きたい(I-want-to-go moments): 店舗情報、地図、口コミ
- したい(I-want-to-do moments): ハウツー記事、チュートリアル動画
- 買いたい(I-want-to-buy moments): 商品詳細ページ、購入ボタン、レビュー
3.2 カスタマージャーニーマップを活用した戦略立案
カスタマージャーニーマップを作成することで、顧客がどの段階でどのような課題を抱えているのか、具体的な行動を可視化できます。
これにより、各段階に合わせた最適な施策を立案することが可能になります。
3.3 データ分析に基づいた改善
購買行動モデルを理解し、施策を実行したら、効果測定と改善を繰り返すことが重要です。
Google Analyticsなどのアクセス解析ツールを活用し、どの施策が効果的だったのか、どの段階で顧客が離脱しているのかなどを分析し、改善に繋げましょう。
4. 最新トレンドに対応した購買行動モデルの活用
近年、Webマーケティングの世界は常に変化しています。
最新のトレンドに対応するためには、以下のポイントも考慮に入れる必要があります。
4.1 パーソナライゼーションの重要性
顧客一人ひとりの行動履歴や属性に基づいた、パーソナライズされたマーケティングアプローチが重要になっています。
AIや機械学習を活用することで、顧客に最適なコンテンツやオファーを提供できるようになります。
4.2 オムニチャネル戦略の推進
オンラインとオフラインの接点を融合させ、顧客にとってシームレスな購買体験を提供することが求められています。
顧客がどのチャネルを利用しても、一貫した情報を提供し、快適な買い物体験を提供しましょう。
4.3 インフルエンサーマーケティングの活用
インフルエンサーの意見や行動が、消費者の購買行動に大きな影響を与えるようになっています。
自社ブランドと相性の良いインフルエンサーと提携し、情報発信や商品PRを行うことが有効です。
4.4 消費者行動の多様性への対応
消費者の文化や価値観、社会的な背景、世代によって、購買行動が異なる場合があります。
ターゲット顧客の属性に合わせて、適切なマーケティング戦略を立案する必要があります。
5. まとめ:購買行動モデルはWebマーケターの羅針盤
購買行動モデルは、Webマーケティングを成功に導くための羅針盤のようなものです。
消費者の心理を理解し、適切な施策を講じることで、より効果的なWebマーケティング戦略を実現できます。
この記事で紹介した購買行動モデルを参考に、自社のビジネスに最適なマーケティング戦略を立案し、更なる成長を目指しましょう。
Webマーケティングの世界は奥深く、常に新しい情報が生まれています。
継続的な学習と実践を通じて、Webマーケターとしてのスキルを磨き、ビジネスの成功に貢献していきましょう。
この情報が、あなたのWebマーケティング活動の一助となれば幸いです。